パリーグが強いのはDH制にあるのか
巨人が日本シリーズでソフトバンクにこてんぱんにやられて、パリーグのチームが日本一を決めた直後に、巨人の原監督から放たれた「セ・リーグもDH制を使うべき」という言葉。
最初はまた原監督が悔し紛れに何か言っている程度にしか聞こえなかったこの言葉が今プロ野球ファン、とりわけセリーグのファンの関心を集めています。
私と同じように、負け惜しみと聞こえていたファンも多かったみたいですが、日に日にいろいろな意見が飛び交って、まだ終息しなくて盛り上がっています。
ここまでセパの戦いはこうです。
セパ交流戦は、導入されて今季でちょうど15年目。
セリーグがパリーグに勝ち越したのは2009年の1回のみで、そこから10年連続14度のパリーグの勝ち越しで、セ・リーグ圧倒し続けています。
日本シリーズについては、このところパリーグが7年連続日本一とこちらも圧倒的強さを誇っています。
これだけの数字を並べられると、まんざら原監督の言葉は負け惜しみでもなく、現場を戦っていた監督の偽ざる気持だったのかもしれません。
そんなパリーグを強くしたのは、はたしてDH制に原因があるのでしょうか?
パリーグを強くした原因
原監督の「セ・リーグもDH制を使うべき」という言葉がクローズアップされていますが、本当にDH制がパリーグを強くしている原因なのでしょうか?
最近のドラフト会議では、パリーグがその年のドラフトの目玉の交渉権を獲得して入団に至っているのも事実です。
ダルビッシュ、田中将大などが代表されるように、ドラフトのくじ運はパリーグに味方しているかのようです。
それでも、どんなに競合が予想されようとも、果敢に強行指名しているパリーグのドラフトに臨む姿勢も、パリーグの強さの根底にあるのかもしれません。
またパリーグは、セリーグの人気に比べると以前は確かに劣っていました。
そんなセリーグ人気に追いつくための様々な取組みが地道に強くしているのも原因の1つです。
恥ずかしながら、私はDH制がパリーグを強くしている原因だとは思っていませんでした。
野球はやはり投げて打って守ってが本来の野球の姿という思いが強かったので、パリーグにDH制が導入された時には、かなり拒否反応を示していた1人でした。
ところが、ここ最近は交流戦であまりいい成績を残せていない私の贔屓のチームのカープを見てて、交流戦突入した時に、パリーグの主催球場で適用されるDH制に、勝利への期待と、その面白さを感じていたのも事実です。
ただ、その制度がセリーグを強くするかどうかと言えば疑問です。
これまでも確かセ・リーグのDH制導入が検討されたことはあったと記憶しています。
ことごとく、そこまでの話で終わっていますが、今回は果たしてどこまで話が進むのでしょうか?
いろいろな評論家、ファンの声を見ていても、賛成反対の意見はわかれています。
中畑清さんはスポーツ紙のコラムで、「セリーグのDH制をなんて声も上がっているけど、そこじゃないと思う」とコメントしています。
私が、原監督の言葉に違和感を感じているのも、そうした気持ちがあるからです。
では、何が一番パリーグを強くしたのか?
それは、ソフトバンクに見る育成力と、近年その強いソフトバンクの牙城を崩そうと必死で崩そうと頑張っている5チームがパリーグ全体を強くしているのが最大の原因だと思っています。
西武、日本ハムは、オフに中心的戦力がFA制度によって流出しても、次のシーズンには見事にチームを立ち直して戦っています。
そうした切磋琢磨はもちろんセリーグのチームもやっていることですが、パリーグほどのイメージがないです。
昨年、巨人に原監督が就任した当初から、いろいろインパクトあるコメントを発信しています。
つい先日のスポーツ紙に載った原監督の言葉がこれ。
「FAしたら、やっぱり参加するのがジャイアンツ。そうしないとFAがダメになる。FAにというのは選手にとっては名誉なこと」
この言葉聞いて、いかにも巨人、いかにも原監督らしい発言と聞こえてしまうのがアンチ巨人ファンなのですが、ソフトバンクのような育成をせず、もっぱら付け焼刃的な補強を繰返す巨人に、セリーグの牙城とは言い難いと思っています。
そんなセリーグの構図を見ていると、DH制導入に興味はそそられることは事実だけど、まだいいかなと思っているのが正直な気持ちです。
下位打線から始まったイニングで、投手がバッターボックスに立って、チャンスにタイムリー打ったり、たとえアウトになろうが、何球もファールで粘って執念の姿勢を見せる時などを見てて、野球の醍醐味を感じることもあります。
といいつつ、投手がピッチングに専念出来て、バッターが1選手プラスで起用できて、現在のチームの選手層の差がどう出てくるかも見てみたいのも事実です。
どちらかといえば、私はDH制導入に否定的だけど、まだまだいろいろな意見を見聞きして、ぐらぐら気持ちが変わりつつ注目して行きたいと思います。